医師会ニュース

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2022年10月01日

***医師会だよりNo.28***

食物アレルギーについて

食物アレルギーのもっとも典型的なタイプは即時型反応で、食物摂食後2時間以内に蕁麻疹など皮膚症状が出現します。乳児から幼児期は鶏卵、牛乳、小麦などが原因となることが多く、年齢とともに食べても反応しなくなることが多いです。
学童から成人では甲殻類、魚、ナッツなどが原因になることが多く、治りにくいことが多いです。
特に蕁麻疹などの皮膚症状以外に全身の症状(喘息などの呼吸器症状、嘔吐などの消化器症状)を認めるときはアナフィラキシーと言います。さらに血圧低下や意識障害などショック症状を認めるときはアナフィラキシーショックといい最重症な病型です。
重症のアナフィラキシーを認めたときは救急車を要請したり、エピペンというアドレリン自己注射を使用するなど速やかな対応が必要となります。
特殊な食物アレルギーとして口腔アレルギー症候群、食物依存性運動誘発アナフィラキシー、新生児乳児消化管アレルギーがあります。
口腔アレルギー症候群はハンノキなどの花粉症をもっている人がりんご、ももなどの果物を食べたとき口のなかのかゆみ、イガイガをきたすものであり、花粉と果物のアレルギーの交叉反応が原因です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーは小麦、甲殻類など原因食物を食べて2時間以内に運動することによってアナフィラキシーが誘発されることをいいます。原因食物を食べても運動などの誘発因子がなければ発症はしません。
新生児乳児消化管アレルギーはミルクを飲んだ後、嘔吐、血便、下痢などの消化器症状をきたすもので、蕁麻疹などの皮膚症状はなく、血液検査でも異常を認めません。最近卵黄が原因となり摂取後嘔吐する症例をよく見かけます。