医師会ニュース

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2019年06月15日

***医師会だよりNo.21***

先天性風疹症候群から赤ちゃんを守るために

風疹は、患者さんの咳やくしゃみによって飛び散る飛沫(唾液のしぶき)を吸い込むことで感染していく病気です。症状は発熱、顔から全身に広がる細かい赤い発疹、耳の後ろのリンパ節の腫れ、目の充血、関節痛等です。これらの症状は約7日前後で治まります。ところが、妊娠20週までの妊婦が風疹にかかると、おなかの中の赤ちゃんが風疹ウィルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等を伴う「先天性風疹症候群」になって生まれてくることがあります。この症候群から赤ちゃんを守るためには、風疹の流行を防ぐ必要があります。流行を防ぐ最も有効な方法は、予防接種です。予防接種により体内で風疹ウィルスをやっつける風疹抗体が産生されます。従って十分にこの抗体がつくられれば風疹にはかかりません。風疹の予防接種は、平成2年4月2日以降に生まれた人は2回、昭和37年度から平成元年度に生まれた女性及び昭和54年度から平成元年度に生まれた男性は公費で1回受けていますが、昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回も受ける機会がありませんでした。このため、この世代の男性の風疹抗体保有率は79.8%(同世代の女性は95%)と低くなっています。よって、風疹の流行を防ぐためにはこの世代の抗体保有率を上げる必要があります。そこで厚生労働省は本年4月から3年間かけて対象男性への風疹抗体検査と予防接種を無料で実施することとしました。これによって風疹の感染拡大が防止され先天性風疹症候群の発生をなくす事が出来ます。対象世代の男性の方(昭和37;1962年4月2日から昭和54;1979年4月1日までの間に生まれた男性、現在39歳から56歳の方)に漸次、2019年4月1日より2022年3月31日にかけて、尾道市から風疹にかかわる定期予防接種および抗体検査の案内が送られてきますので、この機会に風疹抗体検査を受けていただき、同抗体価の低い方は是非、予防接種をお受け下さい。