医師会ニュース

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2018年10月24日

***医師会だよりNo.20***

梅毒が増えています

梅毒トレポネーマが原因で発症する梅毒が増加しています。第2次大戦後、年間15万人以上の感染者がみられたものの特効薬であるペニシリンの普及により年間500人程度まで減少していた梅毒が再び増加してきました。2017年には5020人の発生がありましたが実際には3~4倍の患者数が発生していると考えられています。
梅毒は性交渉によっておこる性感染症の代表です。セックスだけでなくキスやフェラチオでも感染する危険性のある病気です。
症状は全く無症状のこともありますが、性行為による感染から3~4週間で性器や唇にしこりが出来、中心部が潰瘍化してきます。これを典型的なⅠ期の顕症梅毒と呼びます。通常痛みはありません。放っておくと自然に消えることが多いですが治った訳ではありません。約3か月後にはⅡ期梅毒と呼ばれる症状が出現します。皮膚にバラ疹と呼ばれる発疹が出たり、手のひらや足の裏に梅毒性乾癬と呼ばれる発疹が出たり、咽頭粘膜に乳白色の粘膜斑と呼ばれるものが出たりします。
放置すると神経梅毒や全身の梅毒病変へと進んでいきます。梅毒の診断は血液検査で直ぐに分かりますので心配な方は是非とも検査を受けてください(感染の危険後3週以降が望ましい)。同時にエイズの検査もされた方が良いでしょう。治療はペニシリンの内服で4~8週で完治します。妊娠中に感染しますと胎児にも感染しますので特に注意が必要です。先にも述べましたようにHIVなどと異なり性器以外からも感染する可能性が高い疾患ですのでコンドーム着用だけでは防げません。感染している人と性行為をしない限り感染することはありませんが誰が感染しているかは分かりません。「自分の相手は安全」「特定の相手だけだから安全」と思いがちですが検査をしない限り感染しているかどうかは分からないことに注意してください。