医師会ニュース

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2010年06月01日

***医師会だよりNo.3***

軽症外傷患者さんの受け入れ状況について
~尾三圏域メディカルコントロール協議会から

 近年、テレビなどの報道でご存知とは思いますが、日本各地で「救急医療の崩壊」が重大な問題となっています。ここ尾道三原地域においても、救急医療に携わる医師、看護師の不足、市民による救急車の安易な利用、身勝手な時間外受診(いわゆるコンビニ受診)等々のために、まさに危機的状況となっています。
 尾三圏域メディカルコントロール協議会では、平成21年6月より、救急車を依頼される外傷患者さんのうち、救急隊員が軽症と判断した場合には、外傷患者受け入れ協力医療機関(外科系の診療所、病院)に優先的に搬送することにより、急性期病院に患者さんが集中して病院の機能が麻痺することを防ぐようなシステムを構築し、これを実践してきました。
 市民の皆さんのご理解、救急隊員の判断力の進歩、受け入れ医療機関の協力などにより、その成果が少しずつ現れてきています。平成20年までは救急病院以外の医療機関に搬送されたケースは、尾道市では全外傷患者のうち5%でしたが、システム稼動後の平成21年後半では9%、平成22年に入ってからは9.6%と徐々に増加してきています。これにより、外科系の医師が手術を中断して救急車で搬送されて来た患者に対応するということが随分減少したようです。
 なお、軽症と思われた場合でも、受け入れ協力医療機関の診察医がより高度な医療が必要と判断した場合には、高次の救急病院や専門医療機関に再搬送が行われ、そのいずれの場合も適切に治療され順調に経過しています。
 本当に緊急性が高く救急医療を必要とする患者さんが、出来るだけ早く適切な医療を受けられるように、そして、この地域のかけがえのない医療を守って行くためにも、市民の皆さんのよりいっそうのご理解、ご協力をいただきますようよろしくお願いします。