医師会ニュース

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2009年06月01日

***医師会だよりNo.1***

尾道市の救急医療と正しい救急車の利用のしかた

 尾道市医師会では市民の皆さんの健康と安心を守るために、昭和45年から「休日当番医制度」をスタートさせました。内科系、小児科系、外科系の3カ所の当番医が、休日の午前9時から午後5時までそれぞれの医療機関で診療に当たっています。
 さらに平成3年には「尾道市医師会救急蘇生委員会」を設置して、緊急時には市内の3総合病院から救命チームが出動するシステムを作り上げました。
 また、夜間の救急に関しては、昭和51年に「尾道市立夜間救急診療所」が尾道市立市民病院内に開設され、午後8時から翌朝7時までの間、急を要する患者さんの応急処置を行っています。
 現在、入院が必要な患者さんに対しては、市内の3総合病院が24時間対応する体制を取っていますが、医師・看護師不足の影響や、患者さんの大病院志向による集中などによって、尾道市の救急医療は今や崩壊の危機に瀕しています。これに対して、平成20年より、尾道市などの開業医が、尾道市立市民病院と尾道市立夜間救急診療所で日当直の応援を開始しました。
 さらに、平成21年6月からは、救急車を依頼される外傷患者さんのうち救急隊員が軽傷と判断した場合には、なるべく整形外科や外科の開業医に搬送して治療を受けて頂くような体制となりました。
 毎日のように日本各地での救急医療の崩壊が報道されていますが、尾道ではかろうじてまだ機能しています。この大切な救急医療体制の灯を消さないためには、皆さんのご協力が必要です。世間で言われている「コンビニ感覚の時間外受診」、「救急車をタクシー代わりに利用」などは絶対に止めていただき、本当に救急医療を必要とする時に、きちんとした医療を受けることができるようにしなければなりません。
 もしも地域の救急医療体制が崩壊したら、取り戻すことはほとんど不可能です。医療機関も皆さんの健康と安心を24時間守るために日夜精一杯診療していますので、皆さんにもそのことをご理解のうえ、一緒に支えていただきますよう、よろしくお願いいたします。