医師会ニュース

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2016年10月01日

***医師会だよりNo.16***

麻疹(はしか)が流行しています

 麻疹はウイルス感染症の1つで、人から人へ感染します。感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、同じ部屋にいるだけでも感染してしまう感染力の強いウイルスです。感染すると90%以上の人が、麻疹を発症するといわれています。
 日本ではこの数年間で麻疹患者数は減少し、世界保健機構(WHO)より2015年にようやく「麻疹排除状態」にあると認定されました。しかし、海外から帰国した人が麻疹を発症し、多数の人間が集まる音楽イベントに感染した人が参加し、感染を拡大させたことが分かり、問題になっています。
 麻疹は感染してから10日間ほどの潜伏期間を経て、38度以上の高熱、激しい咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。乳幼児では下痢や腹痛といった症状を伴うこともあります。一旦熱が少し下がった後すぐに高熱が出て、顔や首に赤い発疹が出現、全身に広がっていきます。その後は徐々に解熱し発疹は黒ずんだ色素沈着となり治っていきます。
 しかし、麻疹はこれらの症状だけではなく、さまざまな合併症を引き起こすことも大きな問題となります。合併症としては肺炎が最も多く、中耳炎、喉頭炎などもみられます。脳炎は1000人に1人発症し、そのうち5%が死亡するといわれる重篤な合併症です。麻疹にかかって数年後に発症する亜急性硬化性全脳炎も死に至る重篤な合併症で、麻疹患者の10万人に1人発症するといわれています。
 麻疹に特別な治療はありませんが、ワクチン接種を受けて免疫がある人は感染することがほぼありません。ワクチンを2回接種していればかなり確実に防ぐことができます。麻疹・風疹混合ワクチンは、1歳児と小学校入学前1年間の幼児と2回接種しています。無料ですので忘れずに予防接種をしてください。また自費での接種となりますが、麻疹流行地域に行かれる予定の方で、今までに2回接種されてない人、もしくは接種不明の人には、ワクチン接種が推奨されています。