第5回尾道市医師会性感染症・エイズ対策プロジェクト委員会 市民公開講座

平成23年10月16日尾道しまなみ交流館において性感染症・エイズ対策市民公開講座が行われた。平成19年より尾道市医師会性感染症・エイズ対策プロジェクト委員会が中心となり尾道市・尾道市教育委員会・東部保健所とともに共催してきたこの市民公開講座も5回目となった。
第1〜4回までは「性感染症とは、エイズとは」をテーマに行ってきたが節目の5回目となった今年は「Living together」をテーマに行った。
今なお右肩上がりで増加し続ける我が国のHIV感染者・AIDS患者を考えると共生が重要となることは言うまでもない。
そこで、今回は大ブレークしているアフリカ、東南アジア、中南米の現地取材を実際に行われた村上宏治氏、佐々木恭子氏を招き講演会を開催した。

第1部「世界最貧国ブルキナファソから」   写真家 村上宏治氏
氏は尾道在住の写真家であるがブルキナファソの栄養失調児支援を数年来行っている。
同様の支援のために9月に約2週間の予定で現地入りし今回はHIVの現状視察も行った。
ブルキナファソは西アフリカに位置しアフリカの中では比較的HIV感染者は少ない地域であるが、国民のHIV感染率は1.6%で多くの感染者が存在する。
AIDS孤児、母子感染によるHIV感染児も多くみられる。農村地域ではHIV感染を防ぐために欠かせないコンドームも高価であるため初めてみる人もいるような現状である。
HIVが増加した背景には貧困ゆえの売春そして不潔操作による割礼が大きな問題となっている。HIVに対する啓発活動は盛んに行われ減少傾向を示しているものの感染者に対する差別は激しく不幸な生活を強いられている感染者は多数存在する。
HIV治療薬は無料で充分とは行かないまでも比較的入手出来るようである。この場合ジェネリックではなく先発品が使用されているとのことである。
これは欧米からの援助金で先発品を使用することによりフィードバックさせる為の政策である。しかしながら治療薬を得る前の診断や病院へ行く交通費が高価なため実際にはHIVの段階で治療を受けることが出来る人は少なく大きな問題点となっている。

第2部「それでも、笑顔で生きていく 〜私が出会ったHIV/エイズの子どもたち〜」 フジテレビアナウンサー 佐々木恭子氏
氏はFNSチャリティーキャンペーン、日本ユニセフとの共同事業として2006年より3年間インドネシア、アフリカのマラウイ共和国、パプアニューギニア独立国、南米のガイアナ共和国にHIV/エイズの取材に訪れている。
その結果を「それでも、笑顔で生きていく」にまとめ上辞している。今回の講演はこの時の取材を基に行われた。各国でのHIV/AIDSの現況、差別の問題が語られた。
講演終盤で取材VTRが放送された。パプアニューギニアのジュニアという16歳の少年の話である。彼は両親をAIDSで亡くし兄弟とともに祖母の家で暮らしているが、兄弟のうち彼だけが感染しAIDSを発症している。無知ゆえに両親の看病をしていて傷ついた手で母の月経の処理をして感染してしまったrareなケースである。
他の兄弟は食事を与えられ普通に暮らしているが彼だけは感染者ゆえに親族の家でも差別されている。誰も口を利こうとはせず食事も充分に与えられず壁の無い小屋で一人で暮らしている。周囲の人間の無知が彼を激しい差別に追いやっているのである。
HIV/AIDSが多くみられる地域での最大の問題は無知であることである。無知が発症率を増加させ差別を生んでいるのである。
今回の市民公開講座の出席者は約600名で、その多くの人が同様に考えVTRに涙を流してくれた。
Living togetherを共に考える良い機会になったものと考えられた。
同時に実施したHIV検査には約90名の検診者があった。
我が国では多くの啓発活動が行われているもののまだまだ充分とは言えない状況である。誤った知識、行動が我が国でも差別として表れているのが現状である。
増え続ける我が国のHIVのため、そしてLiving togetherのためにも来年以降も引き続き開催する予定である。

 
                   会場風景